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ハマスを無視して、中東和平は成立しない
―― ハマスとの交渉を中東和平の全体図に位置付けよ

ダニエル・バイマン ジョージタウン大学教授

How to Handle Hamas
―― The Peril of Ignoring Gaza's Leadership

Daniel Byman ジョージタウン大学教授で、ブルッキングス研究所のサバン中東センターのシニアフェロー。専門は中東の安全保障、テロ対策。近くA High Price: The Triumphs and Failures of Israeli Counterterrorism を出版予定。

2010年10月号掲載論文

ワシントンが中東和平プロセスを前進させたいのなら、まず、いかようにも交渉を混乱させる手立てをもつハマスの問題に取り組む必要がある。イスラエルの安全保障を脅かし、パレスチナの政治を左右するという点では、ハマスは実に数多くの選択肢を持っている。したがって、ガザ包囲網を緩和させ、ハマスとの停戦合意の制度化を交渉しない限り、中東和平プロセスはいずれ破綻し、再び戦争が起きて、イスラエルはガザを占領せざるを得なくなる。このジレンマを解く上で注目すべきは、いまやハマスはガザをうまく統治しなければならず、ガザ住民の生活に対して責任を負っていることだ。つまり、ハマスはもう単なる抵抗組織として活動するわけにはいかないのだ。ハマスがイスラエルとの停戦合意の制度化交渉に応じれば、今後、ファタハによるイスラエル交渉路線にも反対できなくなる。ハマスとの交渉は、この意味において、イスラエルとの交渉を成功させることで得られる政治的正統性を必要としているファタハにとっても政治的追い風を作りだす。

  • 中東和平交渉とハマスを両立させるには
  • ハマスはなぜ和平交渉を混乱させられるか
  • ガザ住民の生活は
  • ガザ包囲網ではハマスは弱体化しない
  • ガザの再占領は選択肢にならない
  • ハマスに和平交渉を認めさせるには
  • ハマスとの合意から何を期待できるか
  • 停戦合意の破綻に備えた保険策

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